すべてが自己責任ならば国家はいらない

 ITproの「(派遣法改正は悪影響が7割、緊急アンケート結果」の11ページに印象的なアンケートへの回答があったので引用しつつ、メーカー系SIer、独立系SIer、派遣屋さん、そして個人事業主もどきで働いてきた経験に基づき、インラインでコメントを入れる。

力を付けて成長すれば、派遣の仕事は無くならない。

 いくら力があっても派遣の受け入れ先の収支が悪くなれば、真っ先に切る対象とするのは派遣なので嘘だ。

努力をすれば報酬も思い通りに上がっていく。

 本人の努力する方向性と雇用主または派遣受け入れ先が期待する努力の方向性が一致する必要があるので一般化できないので嘘だ。

今回の改正でどんなに頑張っても、結局は3年で切られ、仕事を失う。努力したものが報われない。努力するモチベーションも下がる。悪平等ではないか。

 前の2文によって前提条件が満たせないので、この主張は成立しない。

ずーっと同じ所で自分のスキルを生かして働きたいと言う人の職業選択の自由を奪う制度は、法違反ではないか!?

 労働者のスキルを使う場所を指示できる人事権を持つのは被雇用者の意志のみではなく、雇用者または派遣受け入れ先と被雇用者の合意であるので、法違反と主張する前提条件にならない。

派遣者になりたくないのであれば、なぜより良い正社員になるために良い大学を卒業したりしないのか?

 「良い大学を出るだけで正社員になれる」という主張は偽である。「卒業者の正社員採用率100%の大学」というリストは存在し得るのだろうか? また、その卒業者の正社員採用率100%の大学を受験し、合格し、卒業するまでの学費や生活費をすべての国民が平等に得ているという統計情報は存在するのだろうか?

自分の努力不足を棚に上げて権利だけ求める人を救済するのは正しいことなのか?

卒業者の正社員採用率100%の大学を受験し、合格し、卒業するまでの学費や生活費がすべて満たせないものは、努力不足であるという証明はできるだろうか?

また社員が本当に安定する働き方なのか??

 正社員は正当な理由がない限り解雇できないので、収入と雇用は安定する。

個人を責任ある大人に育てる教育制度が国に無いこと、家庭に無いことが本当の問題では!? 日本は自己責任を極力負わなくて良い子供社会だなと、つくづく思います。

 すべての行為が自分の責任のみに帰結するのであれば、国に教育制度設計を委託する必要はないので、これに異議を唱える必要はないし、家庭にも異議を唱える必要もない。よって、これらを根拠にした結論も偽である。

 こいつは、新自由主義の皮をかぶった無政府主義者だ。

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すべてが自己責任ならば国家はいらない